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生成AIやデータ分析も取り入れた内製開発の魅力。PayPayの事業成長を支える社内業務システム

企業 PayPay株式会社

公開日 2025年01月16日

カテゴリー インタビュー

登録ユーザー数6,700万人以上*。日本の人口の約2人に1人以上が利用するキャッシュレス決済サービス「PayPay」は、いまや「生活に欠かせないインフラ」と言えるほどに普及しています。加えて、決済にとどまらずクレジットカードや銀行、証券、保険などを「PayPay」ブランドに統一し、金融Platformとして事業を拡大しているのです。

そんな「PayPay」の特徴として、社内システム開発組織であるシステム本部の強さがあります。社内業務システムの開発・運用や各種ツールの導入、コーポレートIT業務などを担うこの部署は、企業の体制強化をけん引し、事業成長を支えてきました。また、フルクラウドのインフラ構築や業界最先端技術によるeKYCシステムの開発、AI・機械学習やデータ分析、ローコード開発プラットフォームを活用した高速アプリ開発など、数々の技術的な挑戦も続けています。

PayPay株式会社のCIO Product統括本部 システム本部長 兼 システム本部 AI活用推進室長である岡田寛史さんに、部署の魅力やこれまでの事例、今後の展望を聞きました。

*…2024年12月末時点。

社内システムの改善を通じて、事業の成長を支える

 ――システム本部の構成や、各部署の役割について聞かせてください。

システム本部のなかには、Corporate IT部とSystem Development部、PMO部、System Platform部、SFA&CRM部、Data Management部、AI活用推進室、IT戦略室という8つの部署が存在しています。

Corporate IT部は社員が使用するPCやiPhoneなどのデバイスキッティングや社内の問い合わせ対応、会計/人事システムの構築運用、各種SaaSツールの導入・運用といった、全従業員が使用するツールやコーポレート業務に必要なツール機能を提供するうえで必要な仕事をしています。

System Development部は社内で使用する業務系システムの開発・運用を担います。インフラはAWS・GCP、主なプログラミング言語はJavaを使用して、各部門のニーズに合ったシステムを作る部署です。PMO部はSystem Development部が着手する案件のロードマップ策定やプロジェクト推進を行います。System Platform部は、いわゆるSREの役割でありシステムの信頼性や可用性に責任を持ち、マルチクラウドで構成された各種のインフラを管理しています。

SFA & CRM部はSalesforce活用を推進する部署です。PayPayでは大きく分けて、2種類の業務でSalesforceを使っています。まず、「PayPay」の加盟店を開拓する営業社員が営業活動を記録する用途。そして、「PayPay」のユーザーや加盟店からの問い合わせを管理するCS用途です。Data Management部は全社データ分析基盤の構築・管理、AI活用推進室は生成AIを用いた社内システム/ツールの開発や利活用推進、IT戦略室はITガバナンスの策定・実行、コストコントロールなどを担います。

――システム本部は、2024年9月以前はコーポレート統括本部に属する組織でしたが、2024年10月よりProduct統括本部の配下に移られたと伺っています。この変更にはどのような理由があったのでしょうか?

PayPayが設立されたのは2018年6月で、まだ人間で言えば6歳の会社です。そして、私が入社したのは2019年で、当時はまだコーポレート機能を提供するためのツールや仕組みがほとんど整っておらず、会社の成長を支えるためのシステムを早急に整備する必要がありました。

参考 : CIOが語る PayPayの事業スピードを支える社内業務システム開発

ここのところ、そうした社内基盤の整備にある程度の目途がついてきました。そして最近は、PayPayプロダクト開発チームと連携をするようなシチュエーションが増えています。たとえば、「PayPay」のユーザー情報やトランザクション情報をプロダクトインフラから安全な形で共有してもらい、システム本部側で審査アプリケーションに利用する、などです。そこで、プロダクトとの連携をより強化しようということで、2024年10月から体制を変更しました。

――社内の業務からプロダクトとの連携まで、幅広い領域をカバーする部署なのですね。

そうですね。他にも、システム本部の特徴として内製化へのこだわりが挙げられます。PayPayは創業当初から「事業のコアになる部分は内製する」という意識が強く、システム本部も同じような考え方をしてきました。スピードを意識した事業展開と「まだ世にないサービス」を創ることに本気な会社だからこそ大切にしている考えです。そして、2018年創業の新しい会社ということもあり、積極的にモダンな技術を採用しているのも特徴です。もちろん、内製よりも既存のSaaSを導入したほうが利点が大きい領域もあるので、そうした場合は積極的に活用しており、その方針は都度判断しています。

また、最近ではPayPayカード株式会社が2022年10月にPayPayグループの一員になりましたが、私たちよりも会社としての歴史が長いため部分的にレガシーシステムも残っています。そこで、システム本部のメンバーたちにPayPayカードへと出向してもらい、先方のエンジニアとともにアーキテクチャ刷新などの技術的な改善を推進しているところです。

eKYCのリードタイムを数日→数分に短縮。セキュリティ・パフォーマンスの両方が求められた

――システム本部では、積極的に新しい技術を取り入れているということですが、その特徴が表れているようなプロジェクトの事例はありますか?

eKYCの審査システムについてお話しします。免許証の画像などを用いる従来型の本人確認のプロセスでは、免許証に記載されている顔写真と、本人が提出したセルフィー画像を比較することで、提出者が本人であるかを確認します。この写真の真贋判定に画像認識のAIを用いたり、免許証の住所・氏名の画像情報をテキストに変換する処理にAI-OCRを用いたりといったことを創業間もない頃から行ってきました。

これに加えて、マイナンバーカードのICチップに格納された情報を利用するeKYC審査システムを3年ほど前に構築しました。先ほど述べた従来型では、本人確認プロセスの一部にサードパーティー製のシステムを使用していました。業務プロセスやシステムの制約上、審査のリードタイムが数日ほどと長くなっており、ユーザーのみなさまにご不便をおかけしていたんです。

そこで、ICチップ読み取り方式のシステムを業界に先駆けて導入し、本人確認リードタイムを短縮する方針にしました。この審査システムではプロダクト側のデータやインターフェース連携も必要でしたので、部署をまたいだコラボレーションが発生するプロジェクトでした。また、「PayPay」のユーザー規模は膨大なので、サーバーの負荷対策や冗長化、クエリ最適化などの細かなチューニングも行う必要があり、技術的にもチャレンジングだったと感じます。

加えて、eKYCで受け取るユーザーの個人情報というのは機密性が非常に高いデータですので、厳格に管理をする必要があります。そこで、プロダクト側が管理しているセキュア環境にデータを保持し、システム本部のアプリケーションから安全に情報連携できるようなアーキテクチャを構築しました。

①本人確認の申請

②オペレーターによる審査

③確認書類はセキュアな環境にデータを保持

④AIによる審査プロセスの自動化

このシステムによって、本人確認プロセスの審査リードタイムは数日から数分に短縮できましたし、この事例以降はプロダクト側と連携しながら機微なデータをセキュアに管理しながら、連携先システムで安全に業務活用するケースが増えています。

eKYCを軸とした、新サービス開発を支える業務システム作り

また、「PayPay」の本人確認済みユーザーは現在3,200万人(2024年11月時点)を超えていますが、2024年2月からはこの「PayPay」アプリの本人確認済み情報と連携することで、「PayPay銀行」と「PayPay証券」の口座開設手続きが大幅に改善するユーザー体験を実現しています。これは、システム本部の開発した業務システムがPayPayグループのユーザー獲得に貢献できている、象徴的な機能だと思っています。

加えて2024年8月から、寄付団体や寄付サービス運営企業が「PayPay」の法人向けビジネスアカウントを開設し、本人確認済みユーザーがオンライン寄付を行うことができるようになりました。さらに、2024年12月からは一部の神社や寺院などでのお賽銭でも利用できるようになりました。システム本部は、こうした一連の新サービスをユーザーに安心してご利用いただけるようにするための、企業や団体に対する厳格な審査業務や取引モニタリング、不正検知などを行うための業務システムの開発にも深く関わっています。

こうした例はほんの一部ですが、いままでなかった新サービスをユーザーに届ける機会に直接的に関われることは、技術者として本当に幸せなことだと思います。

生成AIを活用し、データ分析や営業業務の最適化を行う

――業務プロセス改善を実施した別の事例はありますか?

2年ほど前から、業務への生成AIの導入を積極的に行ってきました。生成AI活用による全社横断のプロジェクトを発足させ、各部のメンバーたちに参加してもらいました。そのうちシステム本部のメンバー数名が開発を担当し、それぞれの部の意見を聞きながら、各部のユースケースをもとにシステムを作っています。社内システムは「作って終わり」ではなく現場とのコミュニケーションを通じた改善でなければならないので、一体感を大事にしました。

――すでに実現できているシステムについて、詳しく教えてください。

Slackでの投稿を経由してLLMのAPIを呼び出し、DWHやRAGに格納された各種の社内データを参照して回答を返す仕組みを構築しています。

営業社員が調べものをする際にSQLすら書く必要がなく、Slackで「○○店の2024年の売り上げを月次で知りたい」とか「○○に提案営業したいのですが、最適な営業ルートを教えてください」などと投稿するだけで、適した答えが返ります。現在はさらに、Salesforceの画面から生成AIアプリケーションを直接利用して業務効率化を図る仕組みを構築しています。

――積極的に業務改善に取り組まれているのですね。

これはPayPayの企業文化ですね。ご存じの方も多いかもしれませんが、PayPayは創業以来、とてつもないスピードで加盟店や利用者の数を増やしてきました。組織の成長よりも事業の成長のほうが圧倒的に伸び率が大きいんですよ。だからこそ、業務を常に効率化していかなければ、事業グロースの足枷になってしまいます。

一方で、新しい仕組みの導入のような攻めの施策だけではなく、セキュリティを堅牢にするための守りの施策も絶対に手は抜きません。我々が扱っているのはお客様の大事な金融資産やデータなので、高いセキュリティ水準が求められます。その両方に決して手を抜かない、ユーザーが安心して使っていただける社会インフラの構築を体験できるのは、PayPayならではだと思います。

日本のIT企業で、これほど恵まれた環境はそうそうない

――岡田さんは、システム本部のメンバーを採用する際に、どのような要素を大事にしていますか?

技術や専門性のマッチングは現場の部長陣の意見を信頼していますので、私はどちらかといえばカルチャーフィットやメンタリティを見ています。具体的には、背中を預けても大丈夫な人かどうか。

たとえば、過去のプロジェクトで課題に直面したときや、失敗したプロジェクトから何を学んだかといった、ハードシングスに直面した時の行動や反応を確認するようにしています。

なぜかというと、新しいことに挑戦するプロジェクトでは、トラブルは少なからず起こるんですよね。だからこそ、ある程度の失敗を受け入れつつも、被害を最小限に食い止めるために何をするか、それを次の機会にどう生かすかが大事だと考えています。それに、私はメンバーに対していつもややレベル高めのボールを投げるので、難易度の高いプロジェクトであっても前向きにがんばれる人であってほしいです。

――岡田さん自身は、いま何に挑戦していますか?

PayPay単体だけではなく、クレジットカードや銀行、証券、保険などの関連グループ会社を横断した金融エコシステムを最短最速で作り上げるための土台づくりとは何か?が、私にとって最大の関心事です。異なる企業同士で連携するのは大変なことも多いんですが、実現できればビジネスがグロースするのは間違いないと信じているので、やりがいを感じています。

――エコシステムとは、具体的に何を実現できるのでしょうか?

たとえば、「PayPay」のデータがあれば、人々がいつ、どこで、いくらの決済をしたかというお金の流れがわかります。これに加えて先日リリースされた給与デジタル払い対応サービス「PayPay給与受取」はお金の入り口になります。つまり、お金の入り口から出口まで、一気通貫でデータがPayPayに集まるんですね。しかし、私たちはまだそれらのデータを十分に活用できていません。

これらを用いれば、ユーザー1人1人に応じた金融サービスの提供が可能になります。そうすれば、新しい金融サービス体験ができるでしょうし、5年後・10年後にはいまとは違う世界観が広がっているはずなんです。そんな未来をいち早く実現したいと考えています。

――単なる決済サービスという枠組みを超えて、金融の未来をつくるような仕事ですね。最後に、これからPayPayの求人に応募したいと考えている方々へメッセージをお願いします。

システム本部の仕事は、圧倒的なユーザー基盤を持っている「PayPay」というサービスを、業務システム開発やコーポレートITなどの仕組み作りでサポートできるのが醍醐味です。社会に対してインパクトの大きい事業に関われます。また、今回のインタビューではあまり触れませんでしたが、PayPayはとても国際色豊かな環境でもあります。プロダクト側の開発組織のメンバーは、8割ほどが外国籍なんです。

事業やデータの規模が大きく、求められるシステムの品質も高い環境で、グローバルなエンジニアたちと切磋琢磨して働くことで、自分の市場価値を高められるはずです。そういう意味では、日本においてこれほど恵まれている職場はそうそうないんじゃないでしょうか。

取材・執筆:中薗昴

撮影:山辺恵美子

提供:株式会社Haul

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PayPay 株式会社
2018年にサービスを開始してからユーザー数6,700万人(2024年12月時点)を突破したフィンテック企業であるPayPayは現在約50か国以上の国と地域から集まった多様なメンバーで構成されています...

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